弘前では、本屋さんに出張だったのです。
で、本屋さんで何時間も過ごしたのですが、いやアレは危険な時空ですね。
ついつい買ってしまいます。
持ち帰ることを考えて、購入は文庫ばっかりだったのですが、それでも7冊。
その中のおすすめをひとつ。
夏石鈴子さん著で「新解さんの読み方」。
角川文庫、ISBN4-04-360402-5です。
私は、清水義範さんの短編集が好きで結構買って読むのですが、その中でも紹介されていた本です。
ちなみに、新解さんとは「新明解国語辞典」(三省堂刊)を擬人化したときの愛称だそうです。
なにごとも独自の視点で説く孤高の新解さんは、たとえば「凡人」これをどう説明しているかというと。
ご自身で凡人の説明を考えてから、下の空白領域を反転(選択)してください。
自らを高める努力を怠ったり功名心を持ち合わせなかったりして、他に対する影響力が皆無のまま一生を終える人。〔マイホーム主義から脱することの出来ない大多数の庶民の意にも用いられる〕
Shin Meikai Kokugo Dictionary, 5th edition (C) Sanseido Co., Ltd. 1972,1974,1981,1989,1997
どうですかこの力一杯なキレ味。
この本は、そんな人間くさい新解さんの謎に迫る、という本で、なかなか楽しめます。
ところで、MicrosoftのBookshelfに入っている国語辞典も、まさに新解さん。
知っている単語も、あえて意味を引いてみると、新解さんのキャラクターに迫れるかもしれません。
これもこの本に書いてあったのですが、お持ちのかたは、ぜひ「んとす」を引いてみて、用例を読んでみてください。
実際に引いてみて、私は感動しました。
われら一同、現代語辞典の規範たらんとする抱負を以(モツ)て、本書を編したり。乞(コ)ふ読者、微衷を汲(ク)み取られんことを
|