10/9/2010 - 「無限と連続」 |
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数学者 遠山啓(とおやま・ひらく) 氏の著作です。 非常に面白いです。面白いといってもfunnyじゃなくてinterestingという感じですが 数式がほとんどでてこないのに、数学の深淵に触れた気がする読後感。 まあ専門家から見ると浅瀬でちゃぷちゃぷなのかもしれないのですが…。 「無限大」と「無限大」を比較して大小を求めるとか、数学ってそんなこと考えるのか、的な驚きと発見の感動があります。 含蓄深い文章もあって、理系でなくとも面白く読める数学書だと思います。 おお、と思った一文をご紹介。 「数学では簡単だからかえって難しいことがしばしば起こる。(中略)複雑なものから極度の精錬をへて得られた単純さだからである」 確かに単純で美しい数式の、背景を理解しようとするとわけわからん、的なことはよくある気がします。 これは数学に限らず、私が仕事にしている情報システム開発などでも、モデルの抽象化などで似た事象が発生し共感できます。 単純な記述だから理解しやすい、単純なモデルだから理解しやすい、とは限りません。 思い返してみると、理解しにくい単純なモデルは、その単純さの裏に膨大な複雑さを秘めていて、その複雑な要素を高度な知見で注意深く洗練によってそぎ落としていった結果としての単純さで、結局、完全に理解しようとすると、その背景を知る必要が出てくるのだ、と思います。 仕様書や設計書に、どのくらいこの背景の複雑さを残すべきか、いつも迷っている気がします。
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