![]() R1250RSはとても良いバイクだったのですが、あまりにも賢い子でしてですね。 もうちょっとおバカな(というか奔放なというか)バイクに乗りたくなり、イタリア製 モトグッツィ V7に乗り換えてみました。 V7の7は排気量で、元祖V7は約700ccだったのですが、私のこれは2021年モデルの850ccエンジン搭載車です。 このカラーは2021年モデル。モトグッツィ社ブランド創立100周年記念カラーで、「チェンテナリオ/Centenario」という特別カラーです。「100」を意味するイタリア語です多分。 この色が欲しかったこともあって、走行300Kmの中古を手に入れました。 サイズ感が結構コンパクトで気に入っています。大柄な400ccクラス程度の車格。 カラーもモトグッツィ創立100周年限定の「チェンテナリオ」という特別カラーでちょっとオシャレです。 空冷縦置きVエンジンのタンク横に斜めに生えてるシリンダーが外見上の最大の特徴です。 V7は、スーパースポーツやアドベンチャーバイクのように、特定の分野に特化した突き抜けた面白さってのはないんですが、「ああ初めてバイク乗った時ってこうだったよな、楽しい」という原始的な楽しさがあります。 なんというか「アクセルひねれば走り出す!すごい!」的な…。当たり前ですね。 いやその当たり前の楽しさを再体験できるんですよ。 発進はこれまで所有してきたどの大型バイクよりラクかもしれません。 軽量だったGoose350に匹敵する…いやもっとラクかな、そのくらいのラクさ。 アイドリング付近から十分以上のトルクが湧いていて、発進でエンストするイメージがわかないくらいです。 ふけ上がりは鋭くはなく穏やかな部類で、低回転域ではドルンッドルンッという感じの、Vツインならではの不等間隔爆発フィールが楽しいです。 その爆発がタイヤまで伝わって、ズダタッズダタッとタイヤが地面を蹴ってる感じが尻に伝わってくるのもよき。 低回転、2000-3000rpmくらいは車重に対して十分なトルクがあって、充分な加速をします。 歴代乗ってきた大型バイク達にくらべても低回転のV7のエンジンは十分に力強い。 850ccに拡大された排気量が効いているんでしょうね。 運転姿勢が楽なので街乗りはラクラクです。 クラッチも非常に軽くストップ&ゴーもあまり苦になりません。 というか発進が楽で楽しいのでストップ&ゴーを歓迎するまであります…いやちょっと言いすぎかな。 2速20-30Km/hなどでの走行でも結構楽しい。エンジンのキャラクターのおかげと思います。 2気筒で爆発回数少ないはずですがギクシャクしないですよ。分厚い低回転トルクがノロノロ運転を軽々と支えてくれます。 視界もよくハンドル切れ角も大きいので細い道でも安心感があります。 |
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![]() 縦置きクランクシャフトはバンクに抵抗するジャイロ効果が働きません。だからバンクは軽く、思いのままに倒しこめます。 古き良きスローイン・ファストアウトなコーナリング、ラインどりもアウト・イン・アウトに忠実に走ったほうが気分いいです。 とはいえ限界前ならラインどりの自由度は大したもので、コーナリング姿勢中でも「あとタイヤ一本インに」「アウトに」が気軽にできます。 比較的コンパクトな車格、大型クラシックスタイルバイクとしては比較的軽量なこともあって、イメージより軽快にワインディングを楽しめます。 前述しましたが、走行中はトルクリアクションは感じず、左右でのバンクで変化は体感しません。 パワーも控えめだから、5000-7000rpmスポーティゾーンを使って、「バイクを乗りこなしてる感(乗りこなしてるとは言ってない)」出せるのもいいですね。 もうちょっとバンク角の限界が深ければ最高なんですが。 前述のように思いのままに倒しこめる割にステップが低く(だから巡航時は楽ですが)、マフラーも低いため、いとも簡単にあっけなくステップとマフラーを地面に擦るのが玉に瑕です。 逆に言うとそのくらい気軽にバンクさせられます。超楽しいですよ。 スーパースポーツやストリートファイターみたいな走り方をしようとすると、はっきりとフロントフォークのヨレを感じますし、フレームのしなりも顕著になります。 コーナー奥にクリップを持っていくようにギュッと減速、コンパクトにパタンと向きを変えていち早くアクセルを開けてコーナーを脱出という走り方ですね。 しかし、そういう走り方をするには、V7はフレームもフロントフォークも華奢にすぎます。 でも、いきなり破綻するのではなく、「もうそろそろだよ」「頑張りすぎ」とちゃんと教えてくれて、そのあたりも超性能バイクにはない楽しさですね。(超性能バイクはその領域の遥か前に人間がビビります) |
サイドビュー![]() 縦置きVツイン空冷OHVは、知っている人には特徴的で一発でわかります。 が、あまりバイクに造詣のない人からみると「フツーのバイク」の形をしています。 全体的なデザインや雰囲気は「チェンテナリオ」カラーとあいまってなかなかにオシャレ。 高級感はあまりないかもしれませんが、上質感はあります。 |
フロントビュー![]() フルLEDで、丸形のレトロデザインですがうまい具合に現代風にアレンジされていると思います。 全体としてはスリムながらもエンジンの存在感がありますね。 排気管の取り回しがまっすぐ下に降りてるのは並列二気筒にはできないデザイン。 そのあたりがなんとも伊達っぽくてかっこいいです。 |
リアビュー![]() クリアレンズなこともあり、赤レンズ車と比べるとちょっとピンクっぽい色かも。 タイヤの両脇に沿うマフラー、丸みを帯びたリアフェンダーがクラシカルです。 タイヤの細さもクラシカルな感じを強調していますね。 シート後端の誇らしげな「MOTO GUZZI」刺繡が目を引きます。 |
インストルメントパネル![]() 上半分の円周がタコメーター。レットゾーンが表示されてません。そこは表示しといてほしい。 (V7Specialのアナログメーターは6500rpmからレッドゾーンでした) 速度はデジタル表示でこれはわかりやすいです。 ど真ん中にデンとでっかいイーグルマークがあって、そんなでかくする必要あった?と思わなくもない。 このイーグルマーク、さすがに何の機能もないとまずいと開発者も思ったのか、回転数が上がると点滅してシフトアップを促したりするんです。でも液晶表示が点滅したところで目立たない。そういう役割なら赤ランプとかにするべき…。 きっとデザイナーは、どうしてもこのマーク入れたかったんでしょう。点滅機能はおまけ。 その下の数字は、いろいろな表示切替ができるんですが、燃料計がありません。(燃料警告灯はある) 燃費計はあるのに…。 そして左上のギアポジション表示。 フツーギアポジション表示っていったらギアボックスのセンサーで実際のギア位置を拾うじゃないですか。 でもV7のコレは、エンジン回転数を速度で割って出してる。 だからクラッチ切ってると表示できないし、ギアチェンジの瞬間には反映されない。後付け品じゃねえんだぞとw まあそれで困りはあまりしないんですが…。 そういう些細なことはさておき全体的には見やすくわかりやすいです。 ちょっと左にオフセットされた配置もオシャレです。 (オシャレならなんだって許されると思ってないですかイタリア人…?) |
エンジン![]() 平たく言うと停まった状態のままアクセルを大きく開けると車体ごと右に傾こうとします。 しかし走っているときはトルクの大部分は加減速に使われるため、トルクリアクションは体感しません。 コーナリングでも、私程度の腕前では縦置きの影響による左右差は正直わかりません。 90°V型2気筒は理論上は一次振動(ピストン1往復に1回の振動)をキャンセルできる…のですが、V7に乗っていると結構振動はあります。 同じ2気筒(でも水平対向ですが)のR1250RSは、このV7に比べると低振動どころか無振動ってくらい振動しませんでしたね。さすが水平対向、二次振動までキャンセルできる構造は伊達じゃない。 V7に話を戻しますが、振動は柔らかく角が取れていて不快ではありません、というか「おおエンジン動いておるわ」って感じで可愛いです。 回転数を上げていくと4000rpmから振動が収束する気配を見せ、5000rpmから振動が急に小粒になってきてそこから7000rpmまでは結構スポーティな回り方をします。OHVのくせに割と回りたがりの気性です。 でも7000rpmでも無振動じゃないですね。小粒な、でも硬質ではない振動があります。気分いい振動です。 さらに回せば振動消えるかもしれませんがV7のエンジンは6500rpmからレッドゾーンでレブリミッターは7500rpmで作動しますのでその領域までは回りません。 最高出力発生は6800rpmで、バイクとしてはかなり低め。最高出力は65馬力で、空冷OHVでもちろん2バルブですからそんなものでしょう。 パワーの数字は控えめですが、出力特性は低回転から分厚いトルクがあり、そこからパワーがリニアにレッドゾーンまで上昇していき、トップエンドでもヤバい感じにはならないながら十分にパワフルなので、下から上まで使いきれるよい特性です。 演出も入っていると思いますが低回転ではよい鼓動感で、高回転ではスムーズです。低いギアで回して高速巡行したほうが振動がなくて疲労少ないまであるかもしれません。 あと見た目。世界唯一のMOTO GUZZI 縦置き90度V型二気筒。空冷OHV。フィンも美しい。たまりませんな。 走行中でもちょっと視線を下げればシリンダーヘッドがタンクから横に張り出してるのが見えます。 かっこいい。 この型からオイルクーラーを排してます。オイルラインを引き直して、セミドライサンプにしているそうで、結果としてオイルクーラーが不要になったそうです。 その状態でユーロ5の排ガス規制をクリアしているんですから、なかなか大したもんですよ。 |
ステップ![]() が、もうちょっと後ろ、ちょうどシートの下に来てほしいかなと思います。 でも、やや後ろめに座って、後輪主体のコーナリングしたり、ブレーキ時に踏ん張りたいときにはいい位置かも…? 分厚いラバーに覆われているせいか、振動はありますが不快ではなく楽しい部類になっています。 |
シートと燃料タンク![]() 座面は広く、滑りにくく、また、尻の位置を自在に変えやすく運動性も確保。 そして柔らかく肉厚もあり快適なシートです。馴らし運転では一日に600Km走れましたが、このシートのおかげでしょうね。 後ろから見ると刺繍で 「MOTO GUZZI」とロゴが入ってます。素敵。 独特な形状でちょっと左右に張り出した部位がある燃料タンク。V7伝統の形状です。 私の膝にちょっと左右の張り出しが当たるんですよね。でもホールドもしやすいからいいか…。 21リットルと十分な容量があり、ツーリング時の航続距離は400Kmを超えます。 モトグッツィの鷹マーク(イーグルマーク)がタンクにあしらわれています。 このイーグルマークが金色なのは100周年カラーだけの特権。 |
前輪周辺![]() フロントフォークは正立の40mm径。大型バイクとしては細めで華奢です。 ジャバラ型のフォークカバーがあって汚れにくいのはうれしいところ。 ストロークは137mm。比較的長めのストロークを確保しています。 キャスタ角は26.5°でやや寝ています。18インチホイールと合わせて落ち着いた挙動をします。 前輪ブレーキはブレンボ製のキャリパーを奢り、ディスク径は320mm。 シングルディスクですがワインディングでの効きには不足はありません。 十分な制動力を確保したうえで、レバーに入力した力に応じてABSが作動するまでリニアに制動力を増す、使いやすいブレーキです。 ダブルディスクのとの決定的な差はパニックブレーキですね。 ダブルディスクのバイクは指2本でロック寸前まで効くような制動かけられるのもあります。 V7はそこまではいきません。だからの緊急制動ではレバーをギュッと力いっぱい握る必要があります。 これは練習が必要です。(練習しました)なあにABSがありますから思いっきり握ってもそうそう転倒はしませんよ。 |
後輪周辺![]() シャフト駆動はチェーンメンテがないのがとてもいいです。フル加速時にはテールリフトを若干感じないでもない…、という程度。 後輪は17インチで、150mm幅。150/70-17サイズを履きます。大型バイクとしては細めのタイヤです。 倒しこみの儀式がいらない、フツーにシートに座ったまま深く倒しこめる挙動はこのタイヤ幅も影響しているでしょう。 マフラーは左右出しで低い位置。マフラーからの排気音は静かでいいです。 リアサスペンションは昔ながらの2本サスペンション。カヤバ製です。 サスのストロークは98mm。ホイールトラベルでいうと120mm程度の十分なトラベルを確保しているようです。 走行性能はリンク式の1本サスに敵わないのですが、サスペンションをかなり傾けて搭載する工夫をしています。 こう傾けるのはレイダウンといって、スイングアームの動く方向に向けてサスペンションを設置することで作動性を高める工夫です。 (一人乗りのときはいいんですが二人乗りするときはもうちょい立ってたほうがいいはずですね) 乗り心地のよいサスペンションです。 特段高性能というわけではないのですがフレームやエンジンとのバランスはとれていて、不満が出ません。 |
我がV7のラブリーなおバカポイント
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