SUZUKI GSX-S125 ご紹介
2019年8月18日

(インプレッション・レビュー)
2019年8月初旬に納車された GSX-S125。
ご近所さんでバイク乗りのご兄弟がいるのですが、それぞれホンダのGROM125(メインはGPZ900ニンジャ)、カワサキのD-Tracker125(メインはZZR400)を購入して、それはそれは楽しそうに乗り回していまして。
また、横浜在住のGSX-R1100に乗っている友人(たまに一緒にツーリングする)もGSX-R125を買って楽しそうにしていまして。
自分も小さいバイクも欲しいなーと思っていたのですが、小さいバイクを買ってしまうと、お気に入りのGSX-S1000Fに全然乗らなくなりそうで、それはそれで勿体ないよなあ…とか悩んでいたのです。
…が、昨年のGSX-S1000Fの走行距離が約1万Km(うち2000Kmは北海道)。タイヤもすり減ってなくなりまして。
仮に走行距離半分になっても5000Km走るなら、いいかな、と思って増車を決意しました。
モンキー125が問答無用にかわいくて、しかも塗装や仕上げも高級で所有欲も満たして、とても迷ったのですが、コスパと、走った時の楽しさを考えてコレにしました。

125クラスフルサイズのフレーム、クラス唯一といっていい水冷DOHC4バルブで15psを発揮するエンジンを搭載して、6段変速、ABSもついて、コミコミ40万円でおつりがくる…!
馴らしは1000Km、回転数上限を5500rpmにして実施。馴らし完了が待ち遠しかったです。
乗った印象は、もうヒランヒランで超楽しいです。
ポジションはとてもコンパクトで、リッターバイクと比べると、まるでママチャリに乗っているみたいです。
上体の姿勢には自由度が高く、トコトコゆったり乗りから、スポーツ走行まで対応できます。
発進は、最低で3000rpmくらい回っていればなんとかなります。
淡々と走るなら5500rpmでも問題ありません。
が、本領発揮は6000rpm以上、特に8000rpm〜12000rpmまでは、「小さくてもGSX-R由来の性能」にふさわしい気持ちよさです。
上記で5500rpmで淡々と走ると書きましたが、加速時はシフトダウンしてパワーバンドに入れないとカッタルイです。
ちゃんと頑丈だけどしなやかなフレーム、おもったよりちゃんとした性能のサスペンション、効き目がしっかりしたブレーキなど、車体側の性能も高く、また装備重量133Kgの軽量さも手伝って、エンジンをぶん回してワインディングを走り回るのが楽しくて仕方ありません。
特にフレームの剛性設計はかなり追い込んでいるのでは。ギリギリまで軽くした中で、高負荷コーナリングしても不安にならない剛性を確保。しなりはするのですが信頼感は揺らがない絶妙具合。
大した速度は出ていないのに超楽しいのは、このクラスの美点でしょうか。
誰でも12000rpmまでぶん回せます。リッターバイクじゃこうはいきません。

各部説明

サイドビュー

低く構えたライト回りと、シュラウドとフレームカバーで125クラスにありがちなエンジン回りスカスカ感をうまく隠しています。
その演出が奏功して画像だけ見ると結構大柄に見えますね。(ASEANなどでは大柄に見せるほうが人気があるそうな)
でもまたがった感じは、往年のRG50ガンマやNS-1などの、50ccフルサイズバイクに近い感じ。CB125Rよりは一回り小柄です。
透け感あるホイールと中央付近への凝集感で、重心が中心に集中してすばしっこい印象を受けます。
パッと見でフォークが細く、やや華奢な印象も受けますが、軽快感の演出にも役立っていそうです。

跳ね上がったマフラー、ベータル(花弁)形状のディスクブレーキ、そして水冷でカムシャフトが2本あることが見えるエンジン回り。
高性能を主張してます。やる気満々でとても生意気です。

フロントビュー

特徴的なヘッドライトはGSX-R125と同じ部品。でも顔つきの印象はかなり違います。限られたコストで頑張ってデザインしてくれた模様。
ポジション・ロービーム・ハイビームは標準でLED仕様です。GSX-S1000Fでもハロゲンだったのに(笑)
ウィンカーが上のほうにあるのが特徴でしょうか。見やすくていいですね。

フォークの奥に見えるラジエーターが静かに高性能を主張します。
フロントタイヤとフォークが細く、また単気筒なので車体も細く、全体的にスリムで俊敏に見えます。
半艶ブラックのこのカラーだと、(カワサキじゃないのに)忍者装束を着ているみたいで、鋭い目つきも手伝って、暗殺キャラみたいな…。

リアビュー

見ての通り、積載性は劣悪、これはGSX-S1000もそうなんですが、125は(ASEAN含め)実用に使う人も多いのにこれはなんとかならんかったのか。
縦長のマフラー出口はよく見ると2本出しになっています。
フロントから見たスリム感がリアから見ても失われないのはタイヤサイズがちょうどいいからでしょうか。
ピンクナンバーがかわいい。
リアフェンダーがとてつもなく長く、そして原付二種を示す三角形が目立ちます。
ASEANなどでは未舗装路などもありそうなので大きなフェンダーが有用なのかしら。
私は結構この頼もしそうなフェンダー好きなのですが一般的な美意識ではないらしく、フェンダーレスにする人も多そうですね。
ヘッドライトはLEDでしたが、テールライトは電球です。(GSX-S1000はテールライトはLED)

インストルメントパネル

モノクロのフル液晶で、GSX-R125と共通部品。GSX-S1000と似た印象のデザインです。
RPMランプはシフトタイミングインジケーターで、これはGSX-S1000にない機能です。
燃料計はあるのですが水温計がありません。(警告ランプはある)
ギアポジションも表示されているのはうれしいですね。
一番上の回転計を真ん中より右にキープするのが、楽しいライディングの秘訣です。

エンジン

水冷4サイクル単気筒DOHC124cc4バルブ。
ボア・ストロークは62mm×41.2mmの超ショートストロークで圧縮比は11.0。うん、変態だ。

画像のシリンダー部分の(ヘッドと比べて)短いこと短いこと。

クランクケースとシリンダーで塗り分けられたりしていて、このエンジンへのスズキの思い入れが伝わってくるようです。

単気筒としては超高回転型で最高出力は10000rpmで15ps、最大トルクは8000rpmで1.1kgmfを発生する強心臓。

ベースはASEANで絶賛されているサトレアの150ccDOHCで、それを短縮して125にしたそうで、そりゃショートストロークにもなりますわ…。

スペックシートを見ると、超高回転型で低中回転域は使い物にならない、と感じるかもですが、乗ってみるとそうでもありません。
6速でも平地なら6000rpmも回っていれば巡行はできます。トコトコ走るなら6速で5500rpm、60Km/h程度でも大丈夫。
発進は3000rpmも回っていればエンストはしません。案外普通に使えます。
が、5500rpm以下を用いての加速は、どのギアでもとてもカッタルイです。
加速するときは速やかにシフトダウンしてパワーバンドを使いましょう。巡行時はギアを上げてトコトコ走ればいいのです。

もちろん楽しいのは少なくとも7000rpm以上。できれば8000rpm以上。ここから11500rpmのレッドゾーンまで、しっかりパワーが詰まってます。
そしてオーバーレブ特性が素晴らしく、レッドゾーンの11500rpmを超えてもッ!回るのをッ!やめないッ!!
12000rpm超えてもスルスルと回り続けるのは超ショートストロークだからこそでしょうか。回転が苦しい感じもなく回り切ります。
バランサー入りで振動も少なく、本当に高回転域を使うのが気持ちいいです。
高回転だと吸気音も楽しいです。この細さでエアクリーナーの設計大変だったろうなー…。

最大出力の15psは、欧州の免許の規制にあわせて調整したもので、スズキ開発陣によれば「このエンジンはもう2〜3psは問題なく出る」とのこと。さすが水冷DOHC4バルブ、素性いいですね。乗っていてもその素性の良さは感じます。
で、規制値ということを利用して15psに抑えたことで、低中回転域でも使い物になるようになっているそうです。

また冷却系は150ccのエンジンと全く同じだそうで、つまり125ccとしては少し余裕がある。
暑い夏でも元気に走れそうですし、サーキットランをする方にも安心感が高いですね。


エキゾーストシステム

十分な消音性能でアイドリングが耳障りでない純正エキゾーストシステム。
大ぶりのサイレンサー内部には触媒も入っていて、環境への配慮もぬかりありません。

単気筒なのに、マフラー出口はなぜか2本出し。しかも上下2本で微妙に直径が違うという凝りよう。
アイドリングは静かなのですが「情けない音」ではなく、小排気量単気筒らしい「トトトトト…」という心地よい音質。
回せば125純正としてはそこそこ迫力がある音がします。音量だけでなく、高性能単気筒っぽい音質で、これも心地よいです。良い出来です。

125は車検もないですし、マフラー交換は定番カスタムなのでしょうが、これだけ凝った純正品をリプレイスするのはちょっと惜しいかなと思うくらいです。
テールエンドのキャップも含めあまり安物感もないし。サーキット走るんでもなければ純正でいいんじゃないかなあ…。


シート

タンデムシートも一応ついてます。居住性はお察しください…。

メインシートは座面は十分に広いです。クッションも結構柔らかめ。ただし厚みはイマイチというところです。
上体が立った運転姿勢もあって、長時間の乗車ではそれなりに尻にきます。
座面が広いので、走りながら微妙に尻位置を調整して圧力がかかる部位を分散するのが吉。そうやって走れば、私は馴らしで一日450Kmくらい走りましたが、結果として「尻が痛くて休憩」はありませんでした。

シートの尻の座面は大きく確保されていますが前方は大きくえぐられていて、足つき性を助けています。
またがってみるとその細さに驚きます。細ッ!と心の中でツッコミいれるほど細い。
シート高は785mmですが、細さのおかげでそれより低く感じます。
小柄な方や女性でも不安はないのではないでしょうか。


燃料タンク回り

タンク容量は11L。燃費がいいので十分な航続距離を実現しています。航続距離はGSX-S1000よりずっと長い。
11500rpmレッドゾーンの高回転高出力エンジンですが、燃料はレギュラーガソリンでOKです。

タンクの前側は樹脂製のカバーで覆われていて、磁石を使ったタンクバッグとは相性が悪いです。
その樹脂製のカバーのサイドが大きくえぐれているのは、ハンドルを切ったときの受けです。

細いフレームの上に載っているのでこのタンクの下部も細くて、ニーグリップするにはかなり意識して足を内側に入れないといけないくらい細いです。
でも膝で挟むと結構しっくりくる形状で扱いやすいです。


前輪周辺

ホイールのスポークが細いのは昨今の流行です。

2ピストンキャリパーにABSを装備し、ブレーキディスクは290mm径のペータル(花弁)タイプ。
効きは十分。ブレーキフィールはクラス相応という感じ。ブレーキパイプをゴム製から金属メッシュに変えたりすればもうちょっとかっちりするかしら。
初期からガツンと制動力が立ち上がるタイプではなく、レバーを握った分だけリニアに効き目が増していくタイプで扱いやすいです。(1000もそんな感じ)

フロントフォークは正立タイプ。やや細めで、安定感より軽快感を重視した選択と思います。
攻めたコーナリング時にはもうちょい剛性感が欲しいか?と思わなくもないのですが、普通にルンルン気分で走っているときはこの軽快感が心地よいですね。

タイヤサイズは17インチですが90mm幅とかなり細め。これも軽快感の源ですね。ヒランヒランですよヒランヒラン。
(が、怖いほど安定しないわけではない、全力でコーナーに突っ込んでいっても怖くない)


後輪周辺

チェーンカバーを兼ねたインターフェンダーを装備しています。
スイングアームは普通の鉄角断面パイプなのですが、チェーンカバーの形状を工夫してガルアームっぽく見せている苦心策。
リアスプロケットの軽量化穴もデザインされていてなかなか凝っています。

リアサスはボトムリンク式。乗り心地と操縦性のバランスが取れている、このクラスの純正品としてはなかなかよい出来のリアサスペンション。
路面追従性や接地感もよいです。

リアタイヤは130mm幅。扱いやすいです。
純正装着のタイヤ銘柄は専用設計のDUNLOP製のバイアスタイヤ。素直な特性でこれも軽快感を助けています。
とりたててハイグリップというわけではないのですが、滑り出しがわかりやすく対処しやすいです。

画像では逆側なので写っていませんが、リアブレーキもペータルタイプで径は187mm。
後輪にもABSが装着されていて、これが下りのコーナリングではとても役に立ちます。


ハンドル回り

レバーなどもブラックアウトされていて精悍な印象。

バータイプのハンドル。ポジションはコンパクトで、ママチャリよりちょっと前傾する感じ。
リラックスして握りやすく操作しやすい位置にあります。前傾姿勢だってとろうと思えばとれます。

ハンドルクランプのところが飾りなのか補強なのかプレートで覆われています。
GSX-S1000もこの部分に飾りっぽいカバーがあるのですが、ハンドルバーに何かをマウントしようとすると激しく邪魔なので、実用を考えるとこのカバーは無くしてほしいところ…。


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