YAMAHA FZS1000 FAZER ご紹介
2001年8月20日

2001年3月20日に発注し、7月14日に納車されたFZS1000についてです。
私のはUK仕様です。
詳しくは下のほうで触れるとしまして、全体的な質感としては、「実用品として見ると十分以上だが嗜好品として見るとやや足りない」というところでしょうか。
個人的にはスタイリングはとても気に入っていて、カッコイイと思うのですが、それでもあくまでも「乗ってナンボ」のマシンだと思います。飾っておくほどの美術的な質感はないと思います。実際、パフォーマンスからみれば安いですしね。
#以下の画像は、Web上に公開するにあたって、回線速度を考慮して、画像品質を極端に落としています。
#高品質な画像(一枚800KB程度)をご覧になりたいという奇特な方がいらっしゃったら、メールか掲示板にてご指示を。
#その場合はメール添付などの方法でお送りしたいと思います。

実際、乗ってナンボなんだな、というのは、乗ってみれば判ります。
ええそりゃもう、たちどころに。
重心の移動の感じ、加速減速、とにかく気持ちいいです。
峠なんてニヤニヤものです。
ライン取りも自在ですし、恐怖感なくコーナーに飛び込めます。
コーナーをクリアしていくたびに顔が笑み崩れます。

スロットルオフによる重心移動、快感。
ブレーキングによるピッチング、快感。
倒しこみの、軽く倒れるくせにバンク中は頼もしい感覚が快感。
バンク中のフロントの接地感が快感。
スロットルを空けてリア荷重になるときの重心移動が快感。
遠心力で長い脚がコーナーの路面を捉えてるのが尻に伝わってくるのが快感。
そこでアクセルを開けることができる素晴らしいパワーバランスが快感。
立ち上がり、スムーズな加速が快感。
さらに立ち上がり、EXUPが開いてからの伸びが快感。

とにかく乗ってると気持ちいいんです。
購入を悩んでる方、(できれば)試乗してみてください。
近隣の方なら私のに乗ってもいいと思います。
多分、迷いは吹っ切れるんじゃないかと(笑)

各部の説明は以下です↓

サイドビュー。
とてもシャープなラインです。
跳ね上がったリアテールカウルがやや挑戦的に見えます。
もちろん、YZF−R1などに代表される、スーパースポーツクラスの各車ほど尻上がりではありませんが。
ボディカラーのブルーは、オフロードマシン出身者の私にはいかにもヤマハカラーという感じで好みです。
欲をいえば、ストロボラインがほしいですね。
将来、ニューカラーとして設定されるかもしれませんが。

シートの高さは820mmもあり、またハンドルも画像から受け取れるとおりに高い位置にあります。
また、この画像の方向ではわかりませんが、ハンドル幅も広いので、ライディングポジション(運転姿勢)はまるでオフロードバイクのようです。
走行中も非常に楽ですし、「飛ばすぞ!」という気分にもあまりならないので街中をノンビリ走っていても苦にならない、秀逸なポジション設計と言えるでしょう。
それでいてライダーがやる気になったときは、その着座位置の高さが運動性の高さにつながり、かなり自由自在に走れます。
フロントビュー。
つり上がった目がやはり挑戦的です。
ヤマハYZF−R1の印象を踏襲した「やってやるぜフェイス」。

大きなミラーが触角のようにみえ、「まるでアリのようだ」とは友人の弁。
私的にはハチのようだと思ったのですが・・・
このミラー、視界、見やすさともに秀逸なのですが、振動でややぶれるのが惜しいところです。
また、ミラーが張り出しているので、すり抜けは気を使います。

マルチリフレクター式のライトは55/60Wハロゲンのデュアル。ロービームも2灯式で、夜間走行の明るさ、視界の広さともに十分です。
もちろん最近話題のHIDのほうがより明るいのでしょうが、バイクはライトのマウント位置が高く、対向車や歩行者にとって非常に眩しいです。
また、夜間のハイペースな走行は危険ですし、むしろ、ライト光量の範囲での安全運転のほうがいいように思います。

ライトスモークのスクリーンはとても小さく、ハーフカウルだからといって、高速時のウィンドプロテクションを望みすぎると「あれ?」と思います。
しかし以前乗っていたGooseに比べれば、乱流の少なさはとても優れています。やはりあるとなしとでは肉体的にも精神的にも疲労感が大違いです。
ハンドルがフロンとカウルからずいぶん外に出ていますが、案外風があたりません。
ちゃんと風を感じつつ、要所をおさえた気流マネジメントだと思っておきます。

とんがって跳ね上がっているテールエンドが挑戦的です。(それしかないんかい(^^;)
丸2灯式のテールランプはYZF−R1の印象を踏襲しています。
エンジンベースが同じということもあり、ヤマハが誇るリッタースーパースポーツの雄、YZF−R1の人気にあやかりたいという思いもあるのでしょうか。

リアタイヤサイズはYZF−R1より1サイズ細い180mm。180/55ZR17です。
1サイズ細いとはいえ図太い印象に代わりはなく、跳ね上がった生意気なテールエンドと4−1集合右側出しのエキゾーストとあいまって、ぶち抜かれたら抜き返そうとはちょっと思えない印象を与えるリアビューかなと思います。
バシバシ(どんな擬音だ)走りそうな感じありませんか?
もちろん、バシバシとも走れるんですけどね。

さてそのエキゾーストですが、逆輸入車であるため、やや排気口が大きく、やはり迫力があります。
二重になっているのわかりますか?
実際には、内側の細い管から排気されます。(それでも国内仕様のものよりは口径が大きいです)

ブレーキもR1からもらっています。
住友製のモノブロック鋳造キャリパー。
バネ下重量低減のために、あえて小径(298mm)のフロントブレーキディスクを仕様していますが、とてもよく効きます。
公道での限界域でのコントロール性も上々で(サーキットはその限りではないですが)、とても頼もしいブレーキです。

フロントタイヤサイズは120/70ZR17です。
標準装着タイヤはドイツのメッツラー製のME−Z4Yです。最後のYはヤマハOEMの略かもしれません。

とてもストロークが長いフロントサスペンション(フォーク)を持っています。
特にテンション(伸び)側のストロークは特筆モノでしょう。
140mmというホイールトラベルを持っています。
最初にオフロードバイクに近いライディングポジションという話をしましたが、このストロークもオフ車に迫るものがあります。
(あくまでもオンロード車としては、です。オフ車はさらに長い脚をもっています)
プリロード(バネ初期負荷)、コンプレッションダンパー(縮み側減衰)、テンションダンパー(伸び側減衰)を調整できる、いわゆる「フルアジャスタブル」といわれるタイプのものです。
慣らしの時は、各ダンパーを最弱に設定して擦動面のアタリを出していたんですが、現在は標準に戻してあります。
#かなり調整して試したのですが、結局標準に帰着しました。

このサスペンションのためか、ME−Z4は決してハイグリップなタイヤではないんですが、コーナリング時のフロントの接地感と路面情報の伝え方はとても素晴らしく、圧倒的な信頼感を抱かせます。
しなやかに動くフロントサスペンションを使って積極的にコーナリングするのはなかなか楽しい行為です。

4サイクル水冷DOHC、前傾並列4気筒20バルブエンジン。
R1のお下がりを中低速重視にデチューンして搭載です。
中低速重視とはいえ最高出力は10,000rpmで発揮する143ps。
最大トルクは7,500rpmで10.8Kg・m。
もともとR1というスーパースポーツマシン用のエンジンだったわけですが、その素質はスペック上から消えていません。

サイドビューを見てもお分かりのとおり、シリンダーが前傾しています。
これはヤマハ伝統の「ジェネシス思想」の一環で、フロントタイヤに荷重をかけるためです。
#古いFZR250などもそうなってますね

また、エンジンの前後長を抑えるため、ミッションがナナメ上についています。
「三角形配置」だったかな…。
ホイールベースを最適な長さに保ったまま、リアのスイングアームを長くしたいというところからこのような設計になったようです。

ベースのR1エンジンよりクランクの重さを10%大きくして、またキャブレターをダウンドラフトからホリゾンタルに変更されています。
標準装着のキャブレターはミクニ製のBSR37の4連装。
ラバーを介してフレームにマウントされているせいもあるのでしょうが、振動はきわめて少なく、まるで二次バランサーがあるかのようなフィールです。
非常によく調教されています。そしてこの振動の少なさ、スムーズで優しい感じはR1と比べても明らかな改善点に感じます。
(R1はもうエンジン掛けたとたんにタダモノでない雰囲気を醸し出します。微振動や排気音質も含めて「走るぜ走るぜ!覚悟はいいか!?」みたいな感じかな…?)

低中速トルクは充分ながら太すぎはせず、悪路でも安心してスロットルを開けられます。(もちろん節度のある開け方ですが)
排気デバイスEXUPが開く6,000rpm以上はシュワーっと回転が伸び、なかなか爽快感があります。
気をつけないと一般道の追い越し加速で、ここでは公表できないような速度に達してしまいます。しかも「うわ速い!」という実感は少なく、しかしいつのまにかとんでもない速度に到達します。
つまり、そのくらい気軽にパワーが引き出せる特性なんですね。私でも、立ち上がりで10,000rpm近くを使えますもの。
その場合、公道では1速でコーナリングするわけですが…、もてあまさずに使えてしまう143psなんです。
それだけに、オーナーの中には「もっとパワーを」という方も出てくるのでしょうが、私はこれは美点だと思っています。
パワーを意識しないで走れるというのは、ノーマル状態の車体とエンジンのバランスがとてもいいということを示しているのではないでしょうか。

話はまったく変わるのですが、オイル点検は窓式で、手間がいらなくてよいです。
画像ではYAMAHAの刻印の下のほうにある丸い窓が点検用の窓です。
これなら乗る前に毎日でもチェックが苦になりませんね。

次はエキゾースト周りです。
並列4気筒ですからもちろんエキゾーストパイプは4つ。焼けたステンレスの色合いは買った当時からです。
質感の向上を狙ってのものでしょう。
確かにシルバー系が多いエンジンの近くですから、この焼けた色はアクセントになってカッコいいと思います。

集合形態は4into1。
4−2−1ではなく、4本がいきなり1本の太いパイプに繋がります。
このヨシムラ発祥(世界で初めて二輪用の集合マフラーを開発し、レースに投入したのは日本のヨシムラジャパン、POPヨシムラ(愛称)氏です)の集合形式は、高速域の伸びはとてもよいのですが、低速域が弱く、また途中に「トルクの谷」が出来やすいことで知られています。
これを解消するために各メーカーは工夫を凝らしているのですが、ヤマハのそれはEXUP(エクザップ)というデバイスです。
画像の左上がエキゾーストパイプの集合部なんですが、そこに何かモーター駆動のモノがついています。
これがEXUPというデバイスで、このバイクでは6,000rpmで作動し(多分バルブを開くようなことをしている、逆にそれ以下の回転数ではバルブを絞ってあって充填を上げている、と予想)、低速から高速まで最適な特性を引き出すそうです。
これを無しにして走ったことが無いので実際どのくらい役に立っているのかは、わからないのですが、わざわざコストをかけてまで装備するということは、やはり効果が大きいと考えていいんでしょう。

サイレンサーはステンレス製です。
太く長い、巨大なサイレンサーの消音効果は抜群で、このバイクはとても静かです。
ちょっともさっとした音という気もします(R1ベースとは思えないくらいに音に「キレ」はない)けど、逆輸入車だけあってそれなりに音はしますし(でも静か)、また5,000rpm〜4,000rpmからのエンジンブレーキ時の音はなかなか良い感じです。
前に乗っていたGooseが爆音仕様だったこともあってそれと比べてしまうんですが、ツーリングや、その他の事情で早朝や深夜にバイクに乗らなければいけない場合でも、近所にそれほど神経質にならなくても大丈夫で、これはとても精神的に楽です。
また静かなので、長時間走っていても精神的な疲労が少ないです。

エンジンパワーを受け止める、長くしなやかで、それでいてハリがある後ろ脚。(画像の上の方です)
スイングアームはボックスセクションの丈夫そうなもの。
リブ入りで高剛性を確保して、高出力エンジンのパワーをしっかりと受け止めて後輪を地面に押し付けます。
とはいえガチガチではなく、あるていどスイングアーム自体にもしなやかさを持たせているようです。
スーパースポーツモデルのように、補強入りでないですもんね。

エンジンの三角配置により、スイングアームはとても長いです。
この長くしなやかな脚は、荒れた路面にフィットしながら、ちゃんとふんばってくれます。
リアのホイールトラベルは135mm。これも驚異的なストロークです。
このため、普通はチェーンのたるみは20〜30mmといわれていますが、FZS1000では45mm〜55mmという、これまたオフロード車なみのたるみを持たせた設計になっています。
荒れた路面を走るときでも「何も起こらない」という素晴らしい脚です。

画像の下のほうは、エンジンの三角配置によって必要になったシフトリンケージの部分です。
上の画像でもわかるのですが、ギアチェンジペダルからナナメ上にロッドが伸びています。
ミッションがその位置にあるからですね。
フレームに穴があいていて、そこをロッドが通っているのが判ると思います。なかなか苦心してますね。
それだけ、この三角配置+ロングスイングアームにこだわったということでしょう。
ちなみに、シフトフィールは「普通」です。
長い特殊なリンケージだからといって入りにくいということはありません。

こうしてみると独特のタンク形状だというのがわかります。
深くえぐれていて、これがニーグリップにちょうどいいといいますが、ハングオフ時に引っ掛けるのにちょうどいいといいますか…
よく考えてあるタンク形状だと思います。
上面が凸になっているのはデザイン的な処理でしょうが(R1によく似ている)、タンクバッグなどを置くのには平らなほうがありがたいです。

容量は21リットル。まあ充分というところでしょう。
オーナーズマニュアルによるとリザーブが4リットルだそうですが、燃料コックはありません。
メーターパネルに燃料計があるのですが、その警告ランプがつくのが残り4リットルということでしょうかね?

タンクパッドは後付けです。
ブルゾンのファスナーなどで傷をつけると錆が怖いので、貼っています。
デザイン的には、タンクパッドって好きじゃないんですけどね。

それから、フレームを構成するパイプ(鉄製です)がとても太いのもご覧になれると思います。
ここに見えているパイプのことをトップチューブやトップレールといいますが、そこに48.6mmという極太のパイプを使用して、ダブルクレードルフレームを構築しています。
143psを受け止めるためのフレームです。
このフレームは巧みに設計されていて、そのため軽快なのに安心感があるコーナリングを実現しています。
ダウンチューブも太いので、ちょっとしなり方が独特ですが、すぐに慣れてしまいます。
何より…楽で、そして楽しいフレームです。

シートはとてもよく出来ています。
柔らかさは絶妙で肉厚もあり、ツーリング記にもあるとおり1000キロ一気乗りなどもしたのですが、非常に疲れが少ないシートだと思います。
攻めるときはそれなりにふんばれますし、楽に乗ることもできます。
気分によってライディングポジションを自在に変えることができるバイクなのですが、その要因の一つがこのシートではないでしょうか。

リアシートもそれなりに快適。それなりにですが…。
しかし、このバイクは大量に荷物を積むことを考慮していないようで、キャンプ道具などを積載するときは悩みました。
座面が広いので安定感はあるのですが、樹脂製のグラブバーがあるだけで、荷掛けフック類がないんですよね。
シート下にも荷物はほとんど入りません。大型の雨具でさえ書類といっしょだとつらいかも…
メーカーとしては、このバイクはロングツアラーではなくてスプリンターだということなのでしょうけど(確かにそのとおりなんですけど)長距離も充分守備範囲ですから、この点はぜひ改善して欲しいと思います。
でも、逆輸入仕様には珍しく、ヘルメットホルダーは付いてたりします。

メーターは3連。
燃料計はあるのですが水温計がありません。その代わり、水温警告ランプがタコメーターのトップエンドのところにあります。

レッドゾーンが11,500からというのもわかると思います。
タコメーター内にある液晶は時計です。結構重宝します。
スピードメーター内の液晶はオド、トリップ1、トリップ2を切り替えて表示します。
UK仕様なのでマイル表記です。速度計は外側の大きな数字がマイル、内側の小さな数字がキロの表記となっています。
トリップメーターやオドメーターもマイル表記で、これをキロに直す手段は(メーターアッシー取り替え以外は)今のところありません。
まあ、慣れでどうにかできる問題ですが。

夜はグリーンで透過光照明になります。
もうちょっと光量があってもいい気もしますが、あまり明るいと運転中に気になりますからこの程度でいいのかもしれません。
#見るのに不自由はないです

ここでは見えませんが、キーシリンダーのハンドルロックの奥(というか左)にパーキングランプを点灯させる位置があります。
この辺はさすが欧州向けという感じなのですが、うっかり回しすぎるとパーキングランプ(スモールランプとテールランプですが)が点きますので、そのまま気がつかないとバッテリーがあがる恐れがあります。

ヤマハの音叉マークがちゃんと配してあるあたりは、こだわりでしょうか。