MAZDA DEMIO(DJ系) ご紹介
2018年11月03日

DEMIO 15S TOURING L Package
デミオ 15S ツーリング Lパッケージ 現在の私の愛車です。2018年10月27日に納車。
(インプレッション・レビュー)


総評

前愛車のアテンザから2クラスのサイズダウン。小さい車が欲しいんだが、安い車が欲しいわけじゃない、というニーズにはよくマッチすると思います。
デミオの語源は、スペイン語で「私の(もの)」を意味する「de Mio」(英語では「of mine」に相当)から取られた造語だそうで、「自分流の工夫をして楽しむ車」という気持ちをこめて命名されたとのことで、パーソナルユースには実にいい名前。
(だけど初代・2代目デミオはファミリーユースと空間ユーティリティを重視したクルマでしたが、あれは空間の利用法を自分流に楽しむという感じだったのだろうか)
質感は国産コンパクトのなかでは飛びぬけています。外見のデザインもそうですが、特に乗っているとき目にする内装の質感が高いので、いい車に乗っているという満足感があります。
アテンザから乗り換えても、運転姿勢や質感に違和感がない仕上がりは見事なものです。
見た目だけではなく、走った感じも、まさに「アテンザの小さいやつ」という感じで、メーカーとしての骨太方針がアテンザからデミオまで揃っているというような印象があります。
もちろん軽く小さいので、デミオのほうが活発で活動的ではあるのですが、ボディの剛性感が高く、コンパクトカーとしてはどっしりとした安定感があり、とてもフロント周りがしっかりしていて、操作に対して裏切らず挙動してくれる安心感があります。
1500ccガソリンエンジンは素直で自然で思った通りのパワーを思った通りにアウトプットして、挙動の素直さを助けています。
運転していて楽しいというのが、とんがった要素によってもたらされているのではなく、車全体で楽しさを出しているというところがとてもいいです。

デミオにはスポーツグレードがないのですが、走りには「全体的になんとなくスポーティ」な雰囲気があります。
もうちょっとコンフォートに振ったグレードと、もっとスポーティに振ったグレードにしてもいいと思うのですが…。スイフトやフィットはそうしてますね。
あえてそうしていないのは、マツダの規模で作り分けのコストの問題もあろうかと思いますが、「フツーの人にも、走る楽しさを」というマツダの考えもあるのかなと思っています。

とても気に入っています。大事に楽しんで乗りましょう。


他車比較

前愛車アテンザがミドルセダンで、ということはファミリーユースを想定していて(特にサスペンション設定)、個人向けの車が欲しいなあ、と思っていて、アテンザの次はコンパクトにするぞ、と思ってこれにしました。
他の候補はCX-3とジムニーシエラとクロスビーとスイフトスポーツまたはRSt、フィットハイブリッドでした。
スイフトは走りはエンジンも足回りもとてもよかった、正直デミオより好みだった、のですが内装が安っぽい(というか価格も実際安いんだから価格相応ですが)、落ち着かないのが気になって、デミオにしたのです。
決してバイクもスズキで車もスズキだなんて、まるで鈴菌感染者だと誤解されてしまう…!ということを恐れたわけではありません。
フィットハイブリッドも、静粛性高く力強く、とてもよかったのですが、今の私の気分では「広すぎ」でした。ファミリーユースのコンパクトカーならフィット一択と思えるほどの空間です。私は今回、個人向けを実感できる「狭さ」が欲しかったのです。
ジムニーシエラは狭さ、個人向け感に関しては申し分なく、試乗した感じも悪くはなかったのですが、納車まで3年と聞いて候補から外しました…。
あとジムニーシエラよりマイルドというか一般人向けのクロスビーも試乗したのですが、私にはちょっと足回りが柔らかすぎて(スイフトと同じエンジンはよかった)、候補から外しました。
CX-3は内装はとても素晴らしいのですが、エンジンフィールや音の聞こえ方とサスペンションの設定が好みに合わなくて候補から外しました。
だいたいいつも一目惚れで買い替えているのですが、今回は試乗比較とかしてみました。成長しました。


高速道路

一人で乗っている分には100Km/h巡航では動力性能・シャシー性能ともに十分な余裕があります。
さすがに前愛車のGJアテンザ(の初期モデル)と比べたら余裕はありませんが、ストレスを感じるような非力さや頼りなさはありません。追い越し加速だって十分にこなします。
ボディ、サスペンションともとてもしっかりしていて安定感が高く、コンパクトカーとは思えないような走り心地です。
一人乗車ではやや跳ねる感じが気になった(多分4人乗車に合わせてある)アテンザと比べて、デミオの軽さに合わせてプリロードが控えめなスプリングは、一人で乗っていても、入力の初期から反応が始まってくれて、衝撃の角を上手に丸めてくれます。
結果、予想外に乗り心地はいいです。2014年にデビュー、当時のレビューを見ると不満点もいろいろ書いてありますが、4年間にわたって細かい改良を重ねてきただけのことはある完成度です。パーフェクトとなるにはかけるコストが足りないでしょうが、よくできています。
短いホイールベースのため、特にピッチングはアテンザよりはっきりと大きく感じますが、それが深刻な悪印象にはつながりません。
静粛性も、もちろんアテンザほど高くはないのですが、比較してデミオのほうが騒音は大きい、と比較する気にはなるレベル。お話しにならない、というようなうるささではありません。
高速ではエンジン音よりはロードノイズと風切り音が聞こえます(エンジン音も聞こえる/なおアテンザはエンジン音はほぼ聞こえない)が、これも2014年当時からかなり改善されていて、「やっぱり小さい車はやかましいなあ」という印象にはなりません。
助手席と日常会話は普通にできるでしょう。
安定性は、100Km/hで走ってる分には十分です。Gベクタリングコントロールも効いているのか、直進性もしっかりしています。
それでも、より安定性を高めるために、ダンパーの初期応答をもうちょっと高めたい。これは峠道などでも効果的です。
このダンパーの性能はコストに直結するから国産コンパクトでは純正品の改良は難しいところと思います。リプレイス品のダンパーに変えると一気に改善しそうです。
このクラスでよく高速安定性のお手本と呼ばれるポロとの差がダンパーの初期応答にも出てると思います。(価格も違いますけどね)

街乗り

小さいは正義。
当たり前ですがアテンザから乗り換えると軽い!細い!短い!で、もうどんなところにも入っていけるような感覚になります。
軽いせいか、信号でのストップアンドゴーもあまり苦になりません。
最大110psを発揮する1500ccガソリンエンジンはとりたててパワフルではないものの非力感はなく、たとえばフィットハイブリッドほどの力強さや静粛性はないのですが、過不足なくわかりやすく扱いやすいです。
ダンパーの初期応答の甘さも街乗り速度だとあまり気になりません。気を付けて乗っていると後輪がちょっとひょこひょこしてる感じはありますね。でも不快感はないです。
ロードノイズやエンジン音もこの領域では十分に静かです。もちろん高級車のような遮音性はなく、1500ccガソリンエンジンの音は聞こえてきますし、ロードノイズもほどほど聞こえます。
ですが、いやな気分になる音は通してこないこともあり、街乗りならアテンザよりデミオのほうが運転が楽しいです。軽やかに走れる感じが楽しさをブーストします。
また、街乗りなどの速度が遅い領域では、内装も目に入ってくるため、高級感あるオサレ系の内装でニコニコ気分で楽しく走れます。(白内装にしてうれしかった部分)
街乗りなので気合を入れずに走るわけですが、そんな時でもGベクタリングコントロールは仕事をしていて、街中の何気ないコーナリングや直進などで恩恵を感じます。
直線路はより直進性が高く、カーブはより素直に曲がっていきます。

峠道(ワインディング)

軽いは正義。
アテンザ比で軽い!のは当たりまえで、特にS字などの切り返しで慣性質量の差を感じます。楽しい!
真剣に攻めるには物足りない足回りですが、スポーツグレードがないのでそういうものかなと思います。果敢に攻めるようなキャラじゃないです。
悪く言えば中途半端ですが、普通の人が普通にワインディングを走って普通に楽しい。それでいて乗り心地もそこそこいい。そんな感じです。
ホイールベースが短くトレッドも狭いので、狭い車線内でのラインどりの自由度が高くて、ラインの修正もしやすいです。楽しい!
軽いこともあってブレーキ時と加速時の姿勢変化も穏やか、減速からコーナーに入って加速に移る一連の挙動が軽快です。楽しい!
ボディの剛性感やサスペンション取り付け剛性感も問題なく、というか以前乗っていた初代マツダスピードアクセラ(260ps!)より剛性が高い感じすらあります。高負荷Gをかけてもへこたれません。(念のため、マツダスピードアクセラだってべつにへこたれなかった)
ばね下も軽く(まあ純正品は超軽量じゃないんですがアテンザよりはずっと軽い)、割とよく足が動いてるなー、という感じ。
鼻先が軽く一次旋回(車の自転運動)がスムーズに開始されるのが気持ちいいです。ひょいと向きを変えます。よいしょ感がありません。1300積んでた時はもっと軽かったんだろうなと思いを馳せます。
その後の二次旋回(公転運動)も、一次旋回で作った姿勢を大きく崩さずに気分よく旋回できます。もちろん高速域での二次旋回の安定感はアテンザには遠く及びません。が、楽しさでは負けてません。
前輪で曲がるのは当たり前ですが、後輪も旋回の手助けをする感じがあるというか、旋回中のタイヤの接地感の移り変わりが、四輪が協力して旋回しているように感じます。楽しい!
もちろんFFとしては、という前提が付きます。FRや4WDのあの感覚には至りませんが。でも頑固一徹で曲がろうとしない後輪とか、前輪とちぐはぐに動く後輪とか、そういう不安な感じはありません。
ブレーキも、ワインディングを楽しむ程度であれば十分な効きとコントロール性があります。雨の日のABSも試しましたが問題ありませんでした。
後輪はドラムブレーキで、ドラムブレーキはコストのわりによく効くがコントロール性と放熱性がディスクより劣り、だから高級車やスポーツカーなどブレーキフィールや放熱性(連続高負荷使用)を重視する車種は4輪ともディスクだったりします。
デミオはブレーキフィールは4輪ディスク車には及びませんが、踏んだ通りに直線的に制動力が立ち上がりカックンにもならずコントロール性も十分です。安心して踏めるブレーキです。
リアサスはコスト的に有利で軽量な、そのかわりあまり調整できるところがなく、独立懸架ともいいにくいトーションビーム式。ですが、あまりネガを感じません。接地性能も十分で変にテールハッピーにはなりません。
アテンザのマルチリンク+幅広タイヤの絶大な接地感にはもちろん及びませんが、順バンクから逆バンクに切りかわるような路面で無茶な挙動をさせない限りはそうそう破綻しません。
後輪の動きを気にして走っていると、トーションビームがちょっと効きすぎる感じがします。トーションビームの剛性をもうちょっと落としたほうが好み。というか初期のダンピングが間に合ってない?
高い負荷をかけてガッツリ曲がっているときはあまり気にならないのですが、むしろ緩やかなコーナーで道が荒れていると後輪の挙動が落ち着かない(トラクションが足りないわけではないが、動きすぎる)のが、気になるといえば気になります。
昔のハッチバック車はリアのボディ剛性が低いせいで後輪の接地感が低い、ということもありましたが、デミオは剛性感(実際の剛性はさておき)は十分以上と思います。260psを搭載する1.4トンの初代マツダスピードアクセラより硬く感じるくらいですよ。
なのでどちらかというとリアのトーションビームとコイルスプリングの反応に比べてダンパーの反応が遅い、前述したダンパーのコストの壁による挙動ではないか、と感じました。
リアボディが前後左右のGで小さく揺れ動くのをダンパーが止めきれていない…ような気が。あるいはリアサスのボディ取り付けピボットのゴムブッシュの弾力特性の問題かも。ブッシュが硬すぎて減衰が遅い?あるいは後部が軽すぎる?
こちらも高速安定性と同じく初期応答性の高いリプレイス品ダンパーに変えると、一気に改善するかもしれません。
まあただ、気にすれば気になるという話で、現状で足回りの挙動がけしからん、楽しさを減じてる、とかではありません。
あと、Gベクタリングコントロールの恩恵は、ワインディングでは積極的に自分の操作で荷重移動するためか、あまり実感しませんでした。

サイドビュー

全長4060mm。コンパクト!前愛車のアテンザが4860mmでしたから、80cmも短い!贅沢をいえば4000mmを切ってほしかった…。(狭さを求めてたので)
国産コンパクトカーは、パッケージングをとても重視しているなかで、デミオはそれとは一線を画していて、デザインコンシャスでかっこいいと思います。
サイドビューは特にその傾向が強く出ています。ボンネット部分が長いですよね。
これは限られた範囲で大きな居住性を求められる国産コンパクトカーにおいて、メカニズムとデザインに敢えて大きな空間を使っている、ということで、ある意味贅沢な形です。
実用的な考えとしては、「同じ金出すなら広いほうがいい・便利なほうがいい」と思うわけですよ。それを広くしない、「伊達と酔狂」にリソースを割く、というのは贅沢なのです。
室内長はフィットよりかなり短いのに、全長はフィットより長いんですよ。パーソナルユースと割り切ったからこそのデザインと思います。
もちろん室内の、とくに後席には狭さと乗り心地などデメリットはあります。が、とにかく広く便利にを追求した同クラス他車とは違う「パーソナル感」「趣味性」があります。
ソウルレッドクリスタルメタリック、という、いわゆる「マツダの赤」ですが、これがこういうデザインにはとてもマッチしていると思います。
あ、ウィンドウガラスの下端、ウェザーストリップがキラキラしてるのは、後付けパーツです。(非純正品です)
純正ではこのキラキラはありません。純正オプションでもこれはありませんでしたが、付けても違和感はないと思います。これがつくと赤いボディの華やかさが増しますね!

タイヤ・ホイール

Lパッケージのタイヤは185/60R16インチサイズ。ガソリンエンジン車はLパッケージだけが16インチで、他のグレードは特別仕様車も含め15インチ。ディーゼルエンジン車は16インチを標準装着です。
16インチタイヤの銘柄はトーヨーのPROXES R39。PROXESはトーヨーの高性能ブランド。R39はデミオ専用タイヤで普通のラインナップにはない銘柄です。デミオに合わせて調整されています。
コンパクトカー用としてはかなりグリップが高く、峠道を活発に走ったり、高速を「欧州速度」で走った際の安心感に効きます。多分リプレイス用市販品で同サイズだとこれよりハイグリップなのはないんじゃないでしょうか。
デメリットはやや重く軽快感を多少減じているのと、エコタイヤほどの低燃費は望めないのと、大きめのロードノイズです。
なお、15インチの場合はエコタイヤであるヨコハマのブルーアースAを履いてます。
高速の直進性の高さはこの16インチタイヤによるものも大きいでしょう。前述したワインディングでの旋回特性も16インチと15インチでは変わります。
Lパッケージ以外のガソリンモデルも試乗したのですが、全体的なバランスとして15インチのほうがしっくりきます。
デミオの設計はたぶん15インチタイヤで出しているんだろうなあ、と思います。つまり16インチはデミオとしてはちょっとスペシャルな設定というわけです。
旋回開始のアジリティが高いのと、旋回が終わった時のおつりが少なく、よりスポーティな感じが出ます。もちろんカタログ映えするルックス(ちと大きすぎる気もしますが)。
デメリットもあります。街乗り、高速道路の直進時の乗り心地でいえば15インチのほうが優れているのは間違いないところです。16インチでも銘柄をいいのを奢れば遜色なくなるかもですが…。
アルミホイールはアルミそのままの色と、ダークカラーのツートンになっていますが、個人的には、ダークカラーをあしらったホイールより、普通のアルミカラーのままのほうが好みです。
アルミホイールにダークカラーをあしらって立体感を演出したり、スポークを細く見せたりするのは最近の流行で、デザイナーさんは表現の幅が広がって楽しいだろうけれど、機能美がわかりにくいので個人的にはあまり好きでないのです。
純正ホイールは一般的に、耐久性と強度はとても高く(10年、10万Km以上壊れないように)、品質も安定しているのですが、重いのが玉に瑕ですね。
デミオは車重が軽いので、軽量ホイールに変えると乗り味はかなり変わると予想します。ただし、軽いホイールはサスペンションが縮む前のタイヤのたわみを受け止めきれずにボディに伝える傾向があるので、小さい凸凹や街乗り時など比較的低速時の弱い入力に対しての乗り心地が悪化することがあるんですよね。
(サスペンションがはっきり動くような大きなうねりに対してはバネ下が軽くなるので乗り心地もよくなります。あと燃費もよくなるし加速も減速もよくなります、スポーツグレードなら多少のバタバタ感があっても迷わず軽くしたい)
走り屋仕様なら迷うことなく軽量鍛造ホイール(レイズのボルクレーシングTE37とかCE28とか)へ交換したいところですが、日常の快適性を考えると、ある程度の重さのホイールにも価値があり、悩ましいところです。

フロントビュー

全幅1695mm。細い、という印象。ギリギリ5ナンバー幅に収まります。1840mmのアテンザからの乗り換えですから、細い印象が強いです。
最近のマツダは結構「オラァ!顔」というか、目つきが鋭い傾向にありますが、2014年デビューのまま大きく変わっていないこのデミオは、マツダ車のなかではカワイイ系。
精一杯粋がっている(強がっている)けど小柄だからほほえましくてかわいげがある、という感じです。
存在感というか高級感を出している、グリルのメッキはもうちょっと細いほうが好み、せっかくだからメッキはあったほうがいいんだけど、もっと細いほうが好きです。
フォグランプのところのメッキも、もうちょっと抑制をきかせたい感じ。そのせいか、ちょっとやんちゃなイメージがありますね。コンパクトクラスで活動的な感じになるのは悪い傾向じゃないでしょう。
ライトはメーカーオプションのALH アダプティブ・LED・ヘッドライト が装備されています。
このALHがかなり良くできていて、対向車や直前車を避けて、それ以外の部分にハイビームの光線を伸ばしていく感じ。とても見やすくてよいです。
コンパクトクラスでこの機構を付けられるのはいいですね!今後はどんどん標準になっていくでしょう。

リアビュー

シンプルなシルエットのリアビュー。ハイマウントストップランプとコンビネーションランプがあります。
コンビネーションランプのデザインは「凝ってます!」的なアピールはあまりないのですが、シンプルで心地よいです。「こういうのでいいんだよ、こういうので」的な。
フロントライトと相似形で統一感を出しています。
コンビネーションランプの位置が結構高いので、やや高い車高(1500mm)もあって、やや腰高なルックスです。
もうちょっとランプ位置が低いと安定感を演出できるんでしょうけど、全高がこの高さだと、この位置がバランスがいいですね。
純正のシルエットが気に入っているので、屋根後端はスポイラーを付けていません。が、標準でもちょっとスポイラーっぽいデザインになっています。
屋根の上のシャークフィンアンテナは最近の流行ですね。最初ドイツ製の高級車に採用されて、国産車でも高級車中心にあっという間に広がりました。
ボディ同色にカラーリングされていてオシャレ感は高いです。が、雪国に住んでいるとこのアンテナは屋根上の雪を落とす際に邪魔です。雪国ではプリントアンテナがベストです。
リアバンパーの最下部中央の赤いガーニッシュと、バンパーの下部左右の反射板みたいな赤いパネル(実際には反射しない、赤いだけ、おそらく反射板にすると車検通らない?)のはオプションです。
せっかくの赤色なので、華やかさをプラスしてみました。(というか下部左右の赤いパネルは標準でつけておいてほしい)


ラゲッジ

ラゲッジのサイズは車格相応で、ざっとアテンザの3分の1くらいに見えます。(アテンザのトランクはものすごくデカかった!)
見た目よりもずっと深いのですが奥行きは大したことありません。でも家族使用でなければ特に不満は出ないサイズです。
映っているのは20リットルの灯油缶が2つです。大きさの参考になるでしょうか。深いというか、リアハッチの下端が高いのも画像からわかると思います。
もうちょっとリアハッチが下まで開くか、もっと底を浅くすると、女性でも重量物を積み下ろししやすいと思うんですが。
カタログ上の容量をかせぐ(幅×奥行×高さで何リットルか計算)ために、底を深くしたんじゃないかと思ってしまいますね。
さすがに不便ということはメーカーも認識しているようで、ラゲッジの底に置いて底上げする(そして中に収納もできる)箱がディーラーオプションにあります、が、お値段が2万円以上します。標準でつけておいてほしい。
大荷物を積む際は後席を左右別々にたためます。

エンジンルーム

SKYACTIV-G1.5 P5-VPS。1500cc DOHC 4気筒 自然吸気エンジン。
アクセラの同型式のエンジンは4-2-1集合排気なのですが、デミオは4-1集合排気です。ちょっと残念。せっかくのSKYACTIV-Gなのだから4-2-1排気にしてほしかった。
スペース的にはディーゼルが搭載できるので問題ないですし、モータースポーツベース用の15mbというグレードはハイオクガソリン仕様のエンジンを搭載していますが4-2-1排気。
コストの問題かもしれません。1300cc時代と実質価格変わりませんでしたからね。4-2-1排気にしたら価格も上がったでしょう。(上がってもいいので4-2-1にしてほしかった気分はありますが)
ただ、4-1排気だからと言って、実際に使ってみての不満はありません。アクセラに比べると、少しだけパワー・トルクで下回りますが、デミオは十分に軽いので、低回転時もトルク不足は感じませんし、高回転の伸びも期待通りです。
4-2-1排気が欲しいというのは、私の中の理屈っぽい部分がそうさせているのであって、実用上の問題はありません。
ディーゼルに比して軽量なエンジンなので、ガソリンのデミオは一層の軽快感があります。
この1500ccガソリンは、エンジン特性の個性をあげるのが難しいというか、「普通」のエンジン、という感じです。(悪い意味でなく)
以前搭載されていた1300ccガソリンは、低回転域はトルクが細いけれど高回転の伸びが結構気持ちいい、またその時の繊細な回転感と細く高い排気音が気分いい感じの、「線の細い美人」みたいな個性がありました。
おなじみの1500ccディーゼルは、可変ジオメトリターボの限界か極低回転域(1200rpmくらいまで)はトルクが細いのですが、常用域から太いトルクを発揮してグイグイ加速していく2面性と、「豪快なお姉さん」みたいな個性があります。
が、この1500ccガソリンは、…普通。試乗の感想にエンジン特性があえて出てこないくらい普通。でもこれはメーカーの狙い通りだと思います。
とても素直です。レスポンスも特に俊敏でもなくちょうどよく、とりわけパワフルでもなく不足もなく、思った通りにアクセルを踏んだ分だけ過不足なく自然にパワーがデリバリーされます。これは賞賛に値する美点です。
こういう普通によくできたエンジンで走らせて、つまりエンジンのキャラクター性に頼らずに、クルマ全体で総合的に運転の楽しさを実現しようという、最近のマツダの哲学を感じます。

この4気筒ガソリンエンジンの音は結構気分がよく、かぎられたコストのなかでほどほどに遮音(クラスとしては頑張ってると思う)されていることもあって、キャビンに入ってくるエンジン音が不快な要素になりません。
フィーリングも、6気筒や8気筒の高級エンジンとは比べるべくもないですが、それでも実用エンジンとしては十分にスムーズで、スポーツカーエンジンのような鋭さはありませんが軽快に反応します。
最近は主に燃費の要求から、エンジンのダウンサイジングが進んで、デミオのようなBセグメントコンパクトカーでは1000cc3気筒エンジンをターボ過給するという構成も増えてきました。(フィアット500はなんと2気筒です)
マツダはカタログ燃費はともかく実用燃費にはライトサイジング(適切な排気量)がよい、という方針で、デミオも1300ccからむしろ1500ccに排気量を上げる改良をしました。
スズキのスイフトが1000cc3気筒ターボです。これは十分にスムーズでパワーもあり軽量コンパクトでとてもよくできていて絶賛したくなるのですが、比べると、「3気筒ターボだなあ」と感じます。
(あくまでも「エンジンのスムーズさなどを気にして乗り比べると感じる」のであって、普通は気にならないレベルです、スイフトもいいですよ!)
昔は自然吸気4気筒エンジンは量販車定番の実用エンジンで、基本中の基本だったのですが、ダウンサイジング化が進んだいまはBセグメントコンパクトカーではこの基本のフィールが味わえなくなってきました。
そう思うと、自然吸気4気筒ガソリンエンジンの古き良き回転フィールもなかなかの趣があります。

インテリア

アテンザから乗り換えても、質感とドライビングポジションに違和感がないんだから大したものです。
ドライビングポジションに違和感がないのは、マツダのこだわりのペダル配置にも原因があります。ボンネットが長いので、前輪とシートが離れていて、そのためペダルを前輪に邪魔されずに運転席の正面に配置できています。
このペダル配置は普通に運転するときの自然さもいいんですが、バックするときに振り向いてペダル操作するときなどの操作しやすさ、踏み間違えしにくさにも貢献してます。
これはLパッケージの白内装(ピュアホワイト)です。ホワイトレザーが華やかです。
デミオの内装は、上級グレードでない売れ筋の中間グレードでも、国産同クラスを寄せ付けない上質感があります。デミオにした一番の理由。
このあたりもファミリーユースより個人向けがはっきりしている部分と思います。(子供がいたりすると、あまり気を使うような内装は不便ですよね)
Lパッケージにはブラックレザーの内装もあったのですが、ずっと内装が黒い車に乗ってきたので、たまにはと思って白内装にしました。
あと、最近は夏が酷暑なので、多少なりとも涼やかかなとか…。
ドアを開けると気分が華やぎます。黒い部分のトリムとツートンになっていてオシャレです。
小物収納がなくて不便だよと聞きましたが、その通りです(笑)。とりあえず、最近の大きめのスマートフォンの置き場に困るという…。
後付けのホルダーなども市販品が色々ありますが、付けると一気に実用感が増すというか、オシャレ感が下がる気がするので、できるだけ無しで運用してみたいと思っています。オシャレは我慢というやつですね。
せめてシフトレバーの前の空間がもうちょっと広いと、そこに置けるのでいいんですが。

シート

マツダのホワイト内装は、デミオ以外にも設定があるのですが、デミオだけはシートの座面が「クロス・ブラック」要するに「黒い布地」になっています。
デザインを工夫してあってツートンでオシャレなのですが、高級感では全面ホワイトレザーのほうがもちろん上です。
デミオもデビュー当時のピュアホワイトは座面までホワイトレザーでしたが、いつだったかの年次改良で、座面が黒い布地になったのです。
これはコストダウンもあるのでしょうが(改悪という評価をしている人もいますね。ピュアじゃないじゃんとか)、デミオのようにカジュアルに使いたい車にとっては、使い勝手の面で良いことが多いと思います。
ホワイトレザーの座面は高級感は抜群ですが、傷みや汚れが目立ちがちで、手入れと使い方に気を使います。たとえば、ジーンズで常用するのは避けるべき、と言われるくらいです。
これが上級の車であれば、もともとそういった知識がある人が承知の上で買ったりするのでしょうが、エントリーモデルといえるデミオの購入層はそういった知識や経験が不足していることもあるでしょう。
んで、年次改良で座面が黒い布地になったのは、そういった苦情が来たりして、その対応もあったのではないか?とか思っています。(もちろんコストダウンも大きいでしょうが)
最も傷みや汚れが出やすい座面など体重がかかる箇所に汚れや傷が目立たない黒ファブリックというのは、実用面でうれしい考慮です。
側面や背もたれの上、ヘッドレストはホワイトで明るい感じ、いいですね。
2018年の年次改良でシートのウレタンが高減衰タイプに変わったとのことで、プニプニ感があって座った感じが独特です。効果が出ているようで、フロアの振動が尻に伝わってきません。

ステアリングホイール

ステアリングホイールもレザーで上質な作り(というか上級車のおさがり)です。メッキ加飾も大げさではなくいい感じ。リムはやや大仰な造形な感じもしますが握りやすく手触りもよく操作しやすいです。
ディーラーオプションでシフトパドルを付けています。(ディーゼル車には標準装備だった気がしますがガソリン車はオプション)
エンジンブレーキを積極的に使いたいときに、シフトレバーに手を伸ばさずにシフトダウンできるのがよいです。
ブレーキ踏めよという話でもあるんですが、MT歴が長いのでエンジンブレーキつかいたがるんです。

トランスミッション

シフトノブもレザーでいい感触です。シフトブーツもレザーっぽい素材で、安っぽさがないのがいいですね。
マツダは一時期ゲート式のシフトパターンだったのですが、最近はシフトブーツをかぶせて、普通のATのパターン(ストレート式)に戻しましたね。
ゲート式シフトはたしかメルセデスベンツが始めて、特許が切れてから他社も一気に追従したんでしたっけ。でもいまはメルセデスベンツもゲート式を使っていませんね。
ボタンなしで操作できて操作ミスもなく、理にかなっているなあと気に入っていたのですが、なにか欠点があったんでしょうか。普及しすぎて特別感がなくなった…とかでしょうか。
デミオのATはコンパクトカーに多いCVTではなく普通のステップAT、SKYACTIV-ATで、6段変速です。
ロックアップ率が高く、昔のATのようなトルコン滑りがあまり気になりません。
マニュアルモードでのシフトチェンジレスポンスも十分に速く、DCT並みとはいきませんが、それでもMTよりずっと速くスムーズに変速します。
MTモードがあればダイレクト感もあるので、あえてMTを選ばなくてもいいかなと思ってATにしました。
が、峠道で走ってみると、やっぱりMTのほうが楽しいんだろうなあ、と思わなくもないです…(笑)
ガソリンモデルのATにはスポーツモード切替機能があり、スポーツモードだと高回転を使って活発に走れます。エンジン音も活発になります。
が、個人的にはスポーツモードより、マニュアルモードで自分でギアを選んで走ったほうが気分いいです。これはMT経験があるからでしょうね。
AT免許のかただと、ギアを選ぶってことに慣れてないでしょうから、スポーツモードのほうがいいのかもです。

ヘッドアップディスプレイ

マツダの「ヘッズアップコクピット」コンセプトによるヘッドアップディスプレイ。運転中の視線移動が少なくてとても楽です。
実際の焦点距離もやや遠くなっており、視線の角度だけでなく、遠くを見ていた状態から近くの表示情報を見る際の焦点移動も少なく済むようになっています。
情報表示はとても練りこまれており、車の速度、標識による制限速度、オートクルーズ設定速度、車間詰めすぎの警告など、安全な走行をする際に一目でほしい情報が無理なく読み取れます。
また、斜め後方から接近してくる車を見つけると、ドアミラーに警告灯が光って車線変更する際に気を付けるよう促すのですが、同時にこのディスプレイにも、左端・右端にアイコンが出ます。
普通に走行している分には、メーターパネルに目を落とす必要がほとんどなく、このディスプレイから情報を読み取ればよくなっています。
エンジンが停止しているときはメーターナセルに寝ているのですが、エンジン始動とともに起き上がってくるのはちょっとかわいいです。
体格によって表示位置を変えないといけないのですが、マツダコネクトの設定画面から角度調整が可能です。(手でうごかしてはダメです)

マツダコネクト

ハードウェアについてはよくできていて、視界の邪魔にならない(運転席からの角度では道路にかぶらない)位置で、なおかつ視線移動を最小限にしながら助手席と情報共有できる位置にあります。
モニタサイズは大きくありませんが、デミオの室内幅だと視点からの距離が近いのでこのくらいで十分です。あまりデカいとモニターがインテリアの主役になりがちですが、邪魔にならずよい感じです。
(でも、アテンザくらい広いと、視点から遠くなるので、モニタ−はもう一回り大きくしたいんじゃないかなあ…。特にああいう大きなセダンはご年配の方が購入する傾向にあるし)
タッチパネルでもあるのですが、運転席シートに座ったままダイヤルやボタンで操作できるコマンダーがシート脇に設置されていて、この操作感も悪くありません。
ソフトウェア面では、オーディオプレイヤーとしては私はUSBメモリにmp3を入れて再生しています(スマホ連携はしていない)が不自由はありません。
Bluetoothでスマホと連携して電話応答する機能もありますが(音楽を再生する機能もある)あまり使っていません。
TVもありますが、走行中は使ったことがありません。だからマツダコネクトは要らないといえば要らない…けどナビは欲しいという感じでした。
で、そのナビゲーションシステムについては悪評が多いですね。とくに初期のシステムは酷評されてました。今のモデルはソフトウェアが更新されてかなりマシになったとのこと。
とはいえ、いまいち気がきかないとか、案内から外れた時の復帰が遅いとか、いろいろ問題は聞きます。さらなるソフトウェアバージョンアップで改善するといいなと思っています。
今のところ地図+現在位置表示としてしか使ってなくて、ナビの出来の悪さはまだ体験していません。まだ知らないところに行ってないので…。正直なところ戦々恐々としています。
(私は遠距離はオートバイでツーリングすることが多くて、歴代の愛車でもナビは付けたもののあまり活用してませんでした。現在位置がわかるだけで安心という、原始的な使い方してます)

リアシート

ごらんのとおりの狭さです。画像では狭く見えますが、実際に乗ってみると…はい、やはり狭いです。
ひいき目にみて言葉を選べば、「同クラスの他車よりやや狭い」という感じでしょうが、同クラス他車が(フィット以外は)もともと後席は狭いので、それより狭いってのは正直に言ってかなり狭苦しいってことです。
いや身長180cm超えである成人男性の私でも座れます。欧州を意識してますから、大柄な男性でも座れないと話になりません。もっと小柄な女性や子供であればそれなりに余裕もあるでしょう。
質感は後席でも高いので、狭ささえ気にしなければ、上質な空間で、ファミリーでも…いや、やっぱりファミリー重視ならフィットのほうがいいです絶対。圧倒的に広さが違います。たとえ子供が座るにしてもです。体感というか印象ではフィットのほうが倍くらい広いですよ。
実際のところ圧迫感もありますし、停止時ならともかく、すぐ下に後輪がある後席の乗り心地はあまりよくありません。これはデミオのサスペンション設定にも原因がありますが、後席では突き上げというより、ゆすられ感が気になります。
ですので、近距離、短時間、非常用に後席を使うというか、基本前席使用で、いわゆる昔のクーペみたいな、2+2という感じの使い方が合っています。
ファミリーで遠出には向いてません。これはファミリー重視なら見過ごせないデメリットでしょうが、私は個人の車としてちょうどいい狭さが欲しかったので、むしろ後席の狭さは歓迎です。
さらに言えば後席ドアも要らなかったくらい…。


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その他うんちく(一般論)

ダンパーについて

脱線ですがダンパーについて。ダンパーはサスペンションのスプリングの伸縮を制限する、もっと正確に言うとスプリングの伸縮速度を遅くするものです。伸縮の長さは変わりません。
これで、伸縮速度を調整して、初回の伸縮にかかる時間を、スプリングの伸縮が完全に減衰する時間より長くすれば、いつまでもふわふわせずに一発で揺れが収まる、という理屈です。
ダンパーが強い、弱いは、この速度制限がどのくらい大きいかを示します。弱すぎるとふわふわして安定しないのですが、強すぎてもバネが縮みにくくなって乗り心地が悪化します。
で、ダンパーは、細い穴の中にオイルを通す抵抗で伸縮速度を制限しています。針の細い注射器でピストンを一気に動かそうとすると大きな抵抗になりますよね。あれのでかいやつです。
この構造から、ダンパーの効きが安定するのは、オイルが穴の中を流れ始めてから、ということになります。
つまり、オイルが止まっている状態から流れ始めるまでの効きを自在に制御する、初期応答をよくするのは難しく、コストがかかるのです。
そのため、量販車に使われているダンパーはこの領域の効きが甘いことがよくあります。
特にデミオ含め国産コンパクトカーは、欧州車ほど高速適性が必要とされないこともあり、ダンパーはコスト制約に負けることが多い部分です。で、欧州車と比べて高速が〜とか言われる。
高速でサスペンションの初期応答がなんで大事かというと、高速では、道路からの凹凸もありますが、100Km/h以上から特に空気の流れによって細かく車が揺さぶられ続けます。
この細かい揺れは、サスペンションがはっきりストロークを開始するほどではない部分なのですが、それでも揺れは揺れとして体感的な安定性に大きな影響が出ます。
揺さぶりを抑えるには、サスペンションが動いた瞬間に素早く反応してそれを抑え込もうとしてくれる、初期応答に優れたダンパーが必要です。(最大減衰力とは違う世界の性能です)
(高速安定性は空力スタビライザーつけても向上します。縦方向に、船舶のスタビライザーみたいに小さい羽根を付けるだけでかなり変わります、これは空気の影響力そのものを弱めるアプローチですね)
峠道のようなワインディングでも初期応答の良さはとても重要で、コースの微調整、ターンインやターン終了時の姿勢変化で車体がグラリとくる最初の動きをきちんと抑え込めるかで安心感が変わります。
(コーナーリングでは、ダンパーの初期応答性とは別に、スプリング式のスタビライザーのバネ定数を高くして姿勢変化を抑える方法もあります)
この初期応答の良さは、リプレイス品の売りの一つにもなっているので、だいたいどのリプレイス品のダンパーを買っても、初期応答性は純正品より良くなります。
リプレイス品に変えると大体は高速安定性が上がりますが、この細かい揺れを乗り心地が悪いと感じる人もいて、安定性も高まり乗り心地もよくなった、と評する人もいます。
高級車では、電磁式の可変ダンパーで走行中に細かく減衰力を調整するような機構のものもあります。

スプリングのプリロードについて

こちらも脱線ですがスプリングのプリロードについて。前述でプリロードが〜という記述をしています。
スプリングのプリロードというのは、イニシャルとも初期負荷とも言いますが、バネを「はじめからある程度縮めてある」という部分の長さ(縮めてある力の強さ)です。
たとえば、全部縮めるのに10Kg必要なバネに半分の5Kgかけるとバネの伸縮長は半分まで縮みます。この状態でサスペンションにセットすると、バネ定数にかかわらず、5Kgの負荷まではバネは縮みません。
5Kg以上の負荷がかかってはじめて、バネがバネとして縮みはじめます。初めからかかっている負荷だからプリロード、イニシャル(イニシャルロード)、などと呼ぶわけです。
なんでそんなことするのかというと、安定性と乗り心地のためです。
ちょっとした凹凸でバネが動き続けると、ずっと揺れ続けて安定性が低下し乗り心地も悪化するので、あえて、ちょっとの凹凸ではバネが動かないようにしてあるのです。
ダンパーが抑えてくれるんじゃないの?と思うかもしれませんが、ダンパーは、ちょっと動いたときの抑えは苦手です。上記のとおり、実際に減衰力を有効に発揮するのは、ある程度きちんと動いてからです。
ダンパーの効きが安定しない領域でバネが動きつづけると減衰されずにとてもよろしくありません。酔います。
かといってバネが動かなすぎるとやや大きな凹凸でもガツンと突き上げが来て、やはりよろしくありません。乗り心地だけでなく、トラクションも低下します。
そういうわけで、適切なプリロード、というのはサスペンションの設定として重要なのです。
で、このプリロードを実際にどう決めたらいいのか、というのは、悩ましい要素が多岐にわたります。その中の一つは、人間の体重です。
成人男性の平均体重が66Kgだそうです。つまり空っぽの車に対して、1人乗り込むと66Kgの負荷がかかるわけです。
定員の5人乗ったら330Kg。1人と5人では264Kgも負荷が違うわけです。3列シートで7人乗りなどの場合はさらに差が広がります。車体そのものが重いから人間の体重は誤差…とは言い切れない差が出ます。
5人の負荷を前提としてプリロード設定した車に1人で乗ると、負荷が軽すぎてちょっとした凹凸ではバネが動き始めない…というような事態が生じます。
だから、車メーカーは「何人乗りで常用するか」を意識してプリロードの設定を行っている…と思います。貨物車などははっきりと積載量を意識したプリロード設定になっていますね。
ファミリー向けの車なら、ある程度乗車した状態を前提にプリロードが設定されているはずです。
前愛車のアテンザはミドルセダンなのでたぶん3〜4人乗車で設定されていたのではないかと思います。だから1人で乗っていると跳ねる印象がありました。(ただし私のアテンザは初期ロットなので、年次改良で改善されているかもしれません)
デミオはコンパクトカーで、前席優先がはっきりしていますから、たぶん2人乗車で設定されているのではと思います。1人で乗っていてもプリロード過多には感じません。
高級車で採用されるエアサスだと、おそらく重量センサーと連動して乗車人数にあわせてプリロードを変えていると予想します。

リアスポイラーについて

純正・非純正品含めてリアスポイラーはいろいろ出回っています。市販のスポイラーがどの程度機能設計されているのかというのが消費者には定量的な評価がしにくいのが難点ですね。
リアスポイラーの機能はいろいろあるのですが、多少でも後輪の接地圧を上げる機能があるなら、リアスポイラーをつけると高速直進性が増すはずです。
また、屋根後端からの空気の剥離をスムーズにして、大きな空気の渦を抑制することで最高速や高速燃費がよくなったりもします。
特にハッチバック車はボディ後端が短いので、ボディでかき分けられた空気がスムーズに合流する暇がなくボディの後ろでぶつかり合って渦を巻き、これがボディを後ろから引っ張ることになって大きな抵抗が生まれて、最高速や燃費の悪化につながります。もちろん安定感にも問題が出ます。
ファッション、ルックス重視で装着する人も多い(し、それはそれでもちろんアリ)のですが、本来はれっきとした機能パーツです。なので機能諸元が公開されていたら装着を検討したい…。
マツダスピードブランドのリアスポイラーもありまして、これは一応ワークスチューンみたいなものだから、機能性高いのかなあ…とか。
あとコンパクトハッチバック車のリアスポイラーの隠れた機能として日よけがあります。後席に乗った人は、後頭部に直射日光あたるのいやですものね。

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